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アント

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アント
《禁じられた言語》
Qこんにちは。アントというお名前がとても独特ですが、この名前について説明していただけますか。

特別な理由はないんです。ある日、車で通りかかったときに道端の広告板で「オクトッキ(月のうさぎ)」という言葉が目に入って。それを見て、なんとなく「オクト」という名前がいいなと思って、SNSの名前に使おうとしたら、すでに別の作家さんが使っていたんです。

一歩遅れて悔しくもあって、その「オクト」をアンと噛んでしまいたいという気持ちになって、「アント」に変えてみたら独特で響きもよくて、それ以来この名前を使っています。

Q経歴を拝見すると独特なご経験が多いようですが、作家としてデビューされる前はどんなお仕事を?

デザイン系の高校を出たのですが、そのとき塗装の資格を取りました。おかげで大学生の頃からアルバイトで建築現場のペンキ職人として働きはじめました。早くに親元を離れて自立したので、アルバイトで生活費を稼がなければならなくて。カジノで働いたこともありますし、焼肉屋、アイスクリーム屋と、やっていないバイトがないくらい必死に生きてきました。

大学の専攻は視覚デザインでしたが、デザインよりペンキ職人として働いた時間のほうが長かったと思います。作家として生きるというのはお腹の空くことなので、制作を続けるには別の仕事で収入を得なければならないんです。

Q見た目や雰囲気とはまったく違うお仕事ですね。今回の個展のタイトルが〈禁じられた言語〉ですが、かなり挑発的な題です。今回の主題についてお話しいただけますか。

私は長いあいだ、性的暴力という悪夢のような闇のなかに閉じ込められていました。幼い頃から信じていた身近な人たちから何度も辱めを受けて、それが内面に食い込んで、大人になってからもトラウマのように日常のすべてに影響を及ぼしました。ひとりでいると身体が震えたり、突然涙があふれたり、悔しさに歯を食いしばりながらも恐怖に捕らわれたり。悔しくて、すべてを引き裂いてしまいたくなることもありました。

どこかに訴えたかったけれど、社会的に受け入れられないその話を口にした瞬間、何が起きるかをよく知っていました。実際、近しい友人に話したことがあります。でも友人たちは聞いた途端、まるで私に非があるかのように接して、私を見る目が変わり、距離を置きはじめました。私は何ひとつ悪くない、幼くて抵抗できなかった被害者だったのに。

それが昨年、〈ヘチョモヨ〉という外国人アーティストのコミュニティで自分の話をすることになりました。この禁じられた話を持ち出したら何が起きるか怖かったのですが、驚いたことに、彼らは聞いてくれました。あたたかく慰めてくれて、共感してくれて、自分たちが経験した似たことも話してくれたんです。

人が私の話を聞いてくれるようになって、あの苦しかった傷が癒えはじめました。加害者から謝罪を受けたわけでも、彼らの行いが世の裁きを受けたわけでもないのに、心のなかに長く積もっていた怒りと恐怖と悔しさがほどけていったんです。

不思議でしょう。その理由を考えてみたのですが、隠してきた自分の話をできたからだと思います。そしてその話が排斥されず、受け入れられうるという点で。だからいまは、自信をもって堂々と自分の話ができる人間になろうとしています。

消してしまいたかった痕跡と苦痛を、自分がいちばんできることであり、ずっと渇望してきた芸術という方法で解きほぐす勇気を得ました。

長く口にしづらかった主題を芸術へと昇華されたのですね。だからでしょうか、作品には性的なイメージや性器を表したものが多く見られます。

ええ。もう隠す必要はないと思います。性というのは人間の本能的なもので、誰もがそれについて語りたいことがあるはずですから。

韓国でも、アーティストであればその主題を扱えるべきだと思います。私は性的なものすべてを否定的に表そうとしているのではなく、その本質とアイデンティティについての話をひらいたまま語ろうとしています。ときには暗く重く、ときにはユーモラスに、ときにはその美しさについても。どこか一方に偏らずに語っていくつもりです。

Q作品によく現れる魚のかたちにはどんな意味があるのでしょうか。

魚は私自身です。私は金魚鉢に閉じ込められた魚でした。入れられた鉢を割って出ていけない状態、あるいは世界の外へ出るのが怖い……。

そして魚は女性の性器のかたちをしています。長いあいだ、私のアイデンティティはそのかたちに閉じ込められていました。

Qインスタグラムで拝見したパフォーマンスの映像がとても印象的でしたが、今回の個展のオープニングでもパフォーマンスを予定されているそうですね。

はい。長いあいだ世界の外へ出るのが怖い臆病な人間でしたが、いま鉢を割って出はじめて、立体や絵だけでは表しづらい部分をパフォーマンスで表しています。

語りたいことをすべて打ち明けることで、ようやく自由と解放を感じています。本当のアーティストになったのだと思います。

来たるオープニングパーティーではドローイングのパフォーマンスをお見せする予定です。お時間があれば、私の〈禁じられた話〉をともに分かち合っていただけたらと思います。

2024.5.13

SUE GALLERY(お問い合わせ:+82-10-3016-5140)

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